息切れの改善方法
2024/04/15
息切れの改善方法
息切れ改善のための生活習慣
息切れの原因とは?
息切れは心臓病や呼吸器のご病気、貧血などさまざまなご病気によって起こる可能性があります。脳は呼吸器に指示を出して呼吸の調節を行っています。一方でこの調節が不十分な場合ん体の各所は酸素の不足等があれば脳に信号を送りさらなる酸素を求めます。そうなると、さらに脳は呼吸器にがんばるように指示を出します。しかし、呼吸器の頑張りが追い付かないときに体では「息切れ」として感じています。
息切れのパターン
息切れにはいくつかのパターンがあります。
①激しい運動をしたとき
激しい運動をすると、体の各所でさらに酸素が必要となります。脳は呼吸器にがんばるように指令を出しますが、心肺機能が追い付かなくなると息切れとして感知するようになります。
②強い不安を感じた時
不安を感じると脳は指令を出して呼吸回数を増加させようとして息切れとして感知する場合があります。
③心臓や肺の病気により酸素供給が低下するとき
心不全や心筋症、弁膜症をはじめとする心臓病により体の各所への血液の拍出が低下すると酸素不足が発生して体はより多くの酸素を脳に要求します。そうして脳は呼吸器にもっと頑張るように指示を出して息切れとして感知します。
喘息(ぜんそく)や慢性閉塞性肺疾患 (COPD)などの肺のご病気でも酸素の取り込みが低下することで体内の酸素不足が発生し、脳は呼吸器にさらなる頑張りを要求しますが、追い付かずに息切れとして感知します。
危険な息切れのサイン
息切れは正常でも起こる場合があり、息切れ単独では病気かどうか判断するのは困難です。一方で下記の症状を伴っている場合には病気の可能性が高く、早期の受診をお勧めします。
- 呼吸の音が「ヒューヒュー」もしくは「ゼーゼー」いう
- 咳や痰が多い
- 胸や背中の痛み(胸痛・背部痛)がある
- むくみ(浮腫)がある
- めまいやふらつきがある
- 冷や汗がある
- 失神がある
- 体のだるさがある
- 呼吸がしにくい
- 体を少し動かしただけで息切れが出る
息切れが起こっているときに必要な検査
息切れが起こっている時に必要な検査をご紹介します。
- 血液検査:貧血の有無を確認したり、心不全の数値(NT-ProBNP)の上昇の有無を数値で確認することができます。
- 胸部レントゲン検査:肺炎や肺気腫、心不全を疑う所見の有無を確認します。
- 呼吸機能検査:肺活量など呼吸のパフォーマンスを評価して呼吸の機能を検査します。
- 心臓エコー検査:心疾患が関連した息切れの除外目的に心臓機能の評価を行います。
- 胸部CT検査:肺の詳細な画像評価を行う事で肺気腫、間質性肺炎、細菌性肺炎、肺がんなどの診断を行います。
- 心臓CT検査:狭心症による息切れが疑われる場合に冠動脈の描出を行う事で精密検査を行います。
- 心肺運動負荷試験:心肺機能を精密に評価する検査です。心肺機能を数値化し、心肺機能が低下している原因についても評価することができます。
当院ではこれらの検査を病態に応じて組み合わせて息切れの精査を行い、原因を特定することによって、息切れの解決策を講じております。
息切れに対する治療
息切れが生じるなると動くのが苦痛になり、活動量が低下することでさらに息切れが悪化する悪循環に陥りかねません。悪化する前に治療を行い、さらなる悪化を防ぐことが重要です。
原因に応じた治療を行います。貧血がある場合には鉄剤やビタミン製剤での治療を行います。また、心不全が原因である場合には利尿薬や心臓保護薬を用いた治療を行います。肺の疾患が原因の場合には吸入薬などを用いて治療を行います。
運動療法も極めて重要です。有酸素運動を基軸にレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)を組み合わせることによって心肺機能が改善し、息切れの改善につながります。当院では心臓疾患や血管疾患をお持ちの患者様を対象に医院での監視下運動療法(心臓リハビリテーション)を行って息切れの改善のための運動療法を行っております。
息切れ改善のための生活習慣
- 禁煙
喫煙は肺の機能を低下させ、息切れの悪化につながります。禁煙することによってこれ以上の息切れの悪化を防ぐことができます。また、喫煙は動脈硬化やがんの原因ともなり、禁煙によってそういった病気のリスクの低減にもつながります。しかし、禁煙はたやすいことではありません。医療機関の禁煙外来をご利用いただくのも一手だとおもいます。
2. バランスの取れた食事
食事は息切れ改善のための重要なポイントの一つです。栄養不足によっても息切れが悪化する可能性がありますし、下肢筋力の低下は息切れを助長します。食事をバランスよくとって、特にタンパク質を十分に取り、過度な炭水化物や脂質の摂取を控えることが重要です。果物や野菜にはビタミンやミネラルなどが含まれていますのでお食事の中に果物や野菜を盛り込むことも重要です。
3. 過度な飲酒を控える
過度な飲酒も肥満や生活習慣病の悪化につながり、息切れに関係します。飲酒量としては1日あたりビール350ml、日本酒1合、焼酎0.5合が目安です。また、週2〜3日は休肝日を設けると過剰な飲酒を避けることができます。
4. 適度な運動
有酸素運動は心肺機能を改善し、息切れを改善します。
- 1日1万歩のウォーキング
- 週に1~2回のジムやプールでの運動
- ヨガやストレッチなどの柔軟体操
上記のような運動を心がけることにより心肺機能や呼吸に使用する筋肉の機能が向上し、息切れの改善につながります。
5. 呼吸法
鼻呼吸を意識したり、腹式呼吸を意識することで息切れが改善する可能性があります。習慣的に口呼吸をしている場合には鼻呼吸を意識してみましょう。口呼吸は息切れに関係するだけでなく、免疫機能の低下や口の中の衛生状態の悪化などにもつながります。吸うときは鼻から、吐くときは口をすぼめて吐くようにする「口すぼめ呼吸」も有効です。
最後に
息切れはさまざまな原因で起こる可能性があります。原因に応じて必要な治療を行ったうえでご自身でも生活習慣を改善していただくとより有効です。
当院では息切れの診療に力を入れています。日曜日や祝日にも診療を行っていますのでお気軽にご相談ください。