胸痛診療の流れ

大阪府吹田市のいでハートクリニックです。

 

胸痛は循環器内科において比較的頻度の高い症状の一つです。同時に重篤な病気が隠れている可能性もあり、注意が必要な症状です。

胸痛を起こすご病気には心臓のご病気(心筋梗塞、狭心症、弁膜症、心筋炎、不整脈)、血管のご病気（大動脈解離、胸部大動脈瘤破裂）、肺のご病気(肺塞栓、胸膜炎、気胸、肺がん)、消化管のご病気（胃逆流性食道炎、食道がん、食道破裂）、神経・筋肉・骨のご病気（帯状疱疹、骨折、肋間神経痛）、心のご病気（心臓神経症、心身症、パニック障害、適応障害）など様々なご病気があります。

 

患者様への問診

胸痛がある場合にはまず重要になるのは患者様への問診です。

 

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の有無や喫煙の有無や飲酒習慣についての聞き取りを行います。

また、痛みの性状（絞めつけられるような痛み(絞扼感)、圧迫されるような痛み(圧迫感)、ちくちくする痛みなど）について確認します。痛みの持続時間や頻度、痛みが出現する時間帯や状況についても確認を行います。生活習慣病を有している患者様、絞扼感や圧迫感の症状は心臓のご病気を疑う症状の一つですし、痛みの持続時間が長くなっている場合や頻度が増加している場合やもともとは動いていた時に出現していた症状が安静時にも出現するようになった場合には重症な病態の可能性もあり、より注意して診療にあたる必要があります。

 

検査

十分な問診ののちに患者様に考えられるご病気の可能性を説明し、検査を行います。心臓や肺のご病気を疑う場合の代表的な検査をご紹介します。

 

血液検査：悪玉コレステロール値（LDLコレステロール）や糖尿病の検査(HbA1cや血糖値)を行って隠れた生活習慣病がないか検索を行います。また必要に応じてトロポニンやCPK-MBという心筋梗塞の数値の検査を行います。

 

心電図検査：心臓が胸痛の原因である場合には多くの場合、心電図の波形に変化が現れます。労作で症状が出現する場合には、運動負荷をかけて心電図の波形を確認する場合もあります(運動負荷心電図検査)。

 

レントゲン検査：肺炎や肺がん、気胸など肺の疾患でも胸痛が出現する場合がありますのでその検査を行います。

 

心エコー検査：心臓の動きや弁膜症の有無を確認するうえで重要な検査です。

 

冠動脈CT検査：狭心症や心筋梗塞を疑う場合に直接心臓の血管の画像を撮影し、細いところがないか確認を行う検査です。

 

治療

原因に合わせた治療を行います。

 

不整脈が原因の場合には、抗不整脈薬と呼ばれる不整脈を止めるお薬やβ遮断薬と呼ばれる心臓の興奮を抑えるお薬を使用します。制御が困難な場合にはカテーテルを用いたアブレーション治療を検討する場合もあります。

 

心筋梗塞が原因の場合には、緊急でカテーテル治療（経皮的冠動脈インターベンション）を行う必要があります。病変が複雑でカテーテルでの治療が困難な場合には冠動脈バイパス手術を行う場合もあります。

 

狭心症が原因の場合には病変に応じた治療を行います。比較的心臓の血管（冠動脈）の根本（中枢）に病変があり、狭窄の程度が強い場合にはカテーテル治療（経皮的冠動脈インターベンション）や冠動脈バイパス手術を行います。一方で比較的末梢の病変や狭窄度が軽度の場合には抗血小板薬、スタチン製剤、冠拡張薬などを用いた薬物療法、有酸素運動を中心とする運動療法、栄養療法を並行して行います。

 

弁膜症が原因で胸痛が出現している場合には手術を考慮する必要があります。胸痛の原因となりうる代表的な弁膜症は大動脈弁狭窄症です。大動脈弁狭窄症で胸痛が出現している場合には病期が進行しており、早急な手術が必要な可能性もあります。

 

肺炎などの感染症が原因の場合には抗生剤での治療が必要です。

 

気胸や悪性腫瘍（食道がんや肺がんなど）が原因の場合にも原則的には手術を行います。

 

心のご病気が原因の場合には抗うつ薬や抗精神病薬などでの治療を行います。

 

このように診断によって治療はさまざまです。きっちりとした診断を行って適切な治療方法を導き出すことが重要です。当院では様々な検査機器を用いて胸痛の原因の精査にあたっております。お気軽にご相談ください。